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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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第四章・龍使いの爺様 -5

龍使いの家の長老としての威厳を保とうとするかのように
顎を上げてサギリの前に立った老人は、
ネサクとイワサクの父親だった。

「おまえが旅立つと聞いたが、儂はそれを罪とは思わぬ。だからこそ、こうしておまえの目に触れてもいるのじゃ。もっとも、我ら龍使いはこの土地の神々の守護など受けずとも永らえることは可能じゃからな。それを皆は異端と言うのじゃ。
だが、家の者がサトのならいに従っておまえをハチブなどと恐れるのも、仕方のないこと。この土地でこうして係累を重ねてくれば、取り込まれもしようさ。ネサクがカムナギの家に婿入りしたようにな。
 ネサクはヒルメにのぼせ上がって、見えもしない神々が見えるなどと嘘を吐いてカムナギの家に入ったのじゃったが、おまえが生まれたことで、あの家の一員と認められたということなのじゃろ。死んでカムナギの先祖に同化したというではないか。おかげで我らは力をひとつ失ったのじゃ。ネサクの体は龍神の押さえに使わねばならなかったものを、あそこまでそっちの側に取り込まれてしまっていたとはな。それだけこの土地の力が強いということなのかのう……」

歯の間から息が抜けているような、聞き取りにくい声だった。
サギリは自分の祖父でもあるこの老人を、
幼い頃からどうしても好きになれずにいた。

いつも湿気の澱んだような暗い家も気味の悪い所だったが、
それよりも龍使いの家の者達の、
サギリに対する一種敬うような卑屈にも思えるその態度は
なんとも居心地の悪いものだったのだ。
イワサクと同じように、叔母に当たる人達もサギリことを

「おまえ様」 

と呼んだ。

「サギリよ。儂はおまえに期待しているのじゃよ。おまえはネサクとヒルメの血を正当に受け継ぐ者じゃ。王子と王女の娘というわけじゃな。どういう形かはわからんが、必ずや我ら一族のためになると信じとるんじゃ」

そこで老人は言葉を切り、サギリの顔を下から窺うように見た。
口元が少し笑う形に開かれている。

「儂は、おまえに告げることがある」 

真っ赤な舌が、皺だらけの唇の間からちらとのぞいた。



[第四章・龍使いの爺様 -6]へ、つづく

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