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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

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第六章・ナギとナミ -4

サギリはこれまで日暮れまでに帰ってこられる範囲でしか、
サトの外に出たことはなかった。
その必要はなかったし、
成人していないサトの子供は外で夜を明かしてはならないという、
それも掟だった。

結界で守られていない外では、
様々な精霊達が常に子供を狙っているのだという。
自然の精霊達は悪しきものばかりとは限らないが、
人間達のコトワリとはまた別の法則で存在している。
彼らに子供が死んでしまったら悲しいという感情を
理解することはできないし、
また、人間の子供の生命力は彼らの最高のごちそうでもあるのだ。

第一、外に出たからといって、
そこから先どうしたらいいのかもわからない。

なにがわからないのかが、わからない。 

サトの外で起こっていることを確かめるために
ヒルメは出ていったというが、
サトで暮らしている分には、
今のところなにか変わったことがあるとは思えなかった。
ヒルメもネサクも、
もうちょっと手掛かりを残していってくれてもいいのに。
恨みがましく、ネサクの幽霊が消えた奥の座敷を睨み付ける。
そんな風にしても、ネサクはもう出てきてはくれなかった。

最後にサギリの頭に優しく置かれた手の感触を思い出して、
サギリはのどの奥にわき上がった固まりを飲み下した。
その大きな手がサギリは大好きだった。



[第六章・ナギとナミ -5]へ、つづく

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「稀人」の訓読みは「マレビト」
つまり、「マレビト」とは、[稀人舎]を運営している者のことです。
このブログは、まだ本になっていない作品を入れておく場所……「引き出し」です。
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