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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

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第六章・ナギとナミ -17

「ヒルメなら、その方法を知ってると思うから。あと、生まれた後のこの子をどうしたらいいのかも」

自分たちもたった十歳の子供で、
今まではただ守られるだけだったくせに、
腹の中に子がいるということは、
それだけで守る側に回れるものなのかと、
サギリは少しうらやましいような気持ちになった。

自分の弟と妹が、ずっと年上の大人のような気がした。

自分の子を守るというこの子達を守れるのは、
親たちのいない今、姉であるサギリしかいないじゃないか。
それでもサギリは、なんだか自分の意志とは無関係のところで
ヒルメを探しに行くことが決まっているようで、おもしろくなかった。

「そのヒルメが遠くの土地でもう死んでしまっていたら、どうするのよ」

サギリは最後の抵抗を試みたが、
それは即座にナミの高い声に打ち消された。

「ネサクは、ヒルメが生きてるって言ってたじゃない!」 

確かにネサクは、
「ヒルメは生きているかもしれない」ではなく、
「生きている」と言っていた。

死んでしまった者の言葉は、それこそが言霊だ。
体を持たなくなった者達は、
そのまま世界のすべてと繋がっている存在なのだ。
生きている者は、物事を知るためには
目や耳や鼻を使わなければならず、
遠くの物事を知るためには
足を使ってその場所まで行かなければならない。

死んでしまい、体に縛られることのない存在となったネサクが
「生きている」と言ったのだから、
ヒルメは本当にどこかで生きているはずだった。

ただ、世界と同化し、
いわば薄く引き延ばされた意識のみとなった死者は、
生きている者達には理解できない感覚で物事を捕らえている

ネサクが言った「ヒルメは生きている」の言葉は、
通常の意味での「生きている」なのかどうか、

それはわからない。

だからこその、死んだ者の言うことに行動を左右されるな、
という掟なのだ。

しかし今は、ヒルメが生きているという、
その事実が重要なのだった。
双子にとっても、サギリにとっても。

そして、多分このアシワラノヤチノサトにとっても



[第六章・ナギとナミ -18]へ、つづく

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