忍者ブログ

マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

お知らせ
「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

 ←ランキング参加しています。上位に食い込めたら、こいつも有名ブログの仲間入りっ!?
よろしくです。(涙目)

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第八章・西のホラ -47

雨は降っていたが、空は明るくなっていた。
分厚い雲に遮られて太陽がどこにあるのかはわからなかったが、
まだ昼は過ぎていないように感じられた。
どこかで鳥の鳴き声がしているところをみると、
雨はもうすぐ上がるのかもしれない。

雨に溶けて立ちのぼる緑と土の匂いを
サギリは胸一杯に吸い込んだ。

これはサギリの世界の匂いだ。

死者でもなくマレビトでもない、
生きた人間であるサギリが、
歩き走る地面と、実をもいで口に入れる木々の生きている匂いだ。

この世界のどこかにヒルメはいるはずだという。
この緑と土の匂いのある世界にヒルメがいるのなら、
きっと見つけられると、サギリは突然確信した。
自分が匂いを感じることができ、
手で触ることができ、
足で踏みしめることができる、

そんなこの世界のことなら、なにも怖くない。

ヒルメが残してくれた、
この革の防具とそれに込められた思いがある。
それを頼りにまずは進もうと思った。

「さ、行くよ」

サギリは、雨に濡れた山道に足を踏み出した。


「この子には、あるいはつらい思いをさせることになるやもしれない。それに耐えられるだけの精神が育てばよいが。この先十年、ネサクに……」

歩き始めたサギリの耳に、不意に声が届いた。

「ん? なんか言った?」

ちょうど頭の高さをフワフワと飛んでいるシナツヒコに聞く。

「なんも言ってねえよ」

「また、ヒルメの声じゃないですか?」

「なんて言ってたよ?」

呑気そうな二人の問いには答えず、
サギリは歩き続けた。

今は、考えるときではない。
そんな気がした。



『葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」了

次回からは
『素戔鳴流離譚・其ノ二「俺の役割って一体なんなのよ!?の巻」』開始!

↓1日1回ポチッとよろしく。励みになりますです。
 
PR
この記事にコメントする







  Vodafone絵文字入力用パレット表示ボタン i-mode絵文字入力用パレット表示ボタン Ezweb絵文字入力用パレット表示ボタン

この記事へのトラックバック




ごあいさつ
稀人舎ロゴ
個人で出版活動をしている[稀人舎](キジンシャ)と、申します。
「稀人」の訓読みは「マレビト」
つまり、「マレビト」とは、[稀人舎]を運営している者のことです。
このブログは、まだ本になっていない作品を入れておく場所……「引き出し」です。
お読みになられましたら、ぜひご意見・ご感想をお寄せください。
好評なものは、「引き出し」から出して、本にすることもあるかもしれません。

ここに公開している創作物の著作権・出版権等の権利は、その作品の著者にあるものとします。
無断転用はおやめください。
なにかにご紹介いただけるときなどは、
[稀人舎]まで、ご連絡ください。
よろしくお願いします。
あ、リンクはフリーでございます。何卒よろしくお願いいたします。
最新コメント
[04/28 ゆっきー]
[11/18 管理人]
[11/17 ちあき]
[02/15 管理人]
[02/15 ちあき]
稀人舎の本
未入籍別居婚~私の結婚スタイル~
未入籍別居婚~私の結婚スタイル~
シングルマザーとシングルファーザーの結婚は、問題山積みで… 家族も自分たちも幸せになるために、彼らが取った方法は…?

飲んだくれてふる里
飲んだくれてふる里
山形県鶴岡市の思い出エッセイ集。鶴岡の飲み屋で拾った、ちょっと懐かしい話がいっぱいです。
ブログ内検索
バーコード
最新トラックバック
アクセス解析

AdminControlMenu: AdminMenu | NewEntry | EditComment | EditTrackback

忍者ブログ [PR]