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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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第八章・西のホラ -41

サギリの声は、岩室の高い天井に吸い込まれ、
天辺に開いた穴から空に飛んでいったような気がした。

「うるせーなー。そんなに母ちゃんが恋しいかよ」

「ヒルメがどうかしましたか」

シナツヒコとワカサヒコが消えたときと同じように、
唐突に姿を現した。
と同時に、サギリの中に流れ込んできていた思念が
ぷつりと途絶えた。

「ヒルメの声が、したと思ったんだけど、消えちゃったよ」

また声が聞こえないかと、
さまざまに気持ちを集中させてみたが、
そのどれにもさきほどの声は反応しなかった。

「なんて言ってましたか?」

ワカサヒコがいぶかしそうに聞く。
自分たちには聞こえず、
サギリにだけ聞こえたということが解せないふうだった。

「うーん、なんかスサノオが自由に動けるように、とか、ツクヨミは姿を現してはならない、とか、そうなるとアマテラスはどうとか……自分の代わりは、どうするか、とか、そんなことを一生懸命考えてるみたいだった」

「サギリになにか語りかけてきたという感じではなかったのですね」

「あたしに向かってっていうより、そうだねー、自分ひとりで考えてるって感じだったかな」

「そりゃあ、おめえ、ヒルメの残留思念だな」 



[第八章・西のホラ -42]へ、つづく

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「稀人」の訓読みは「マレビト」
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このブログは、まだ本になっていない作品を入れておく場所……「引き出し」です。
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