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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
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「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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第八章・西のホラ -34

ワカサヒコ達は、いつでもサギリの心を簡単に読んでしまう。
そのために、サギリはときどき、
ワカサヒコ達に言われたことが、
自分が頭の中で考えたことなのか、
口に出してしゃべったことなのか、
わからなくなることがあった。
自分が必要以上におしゃべりなのは、
実はこいつらのせいかもしれないと思う。

どうせ心を読まれてしまうなら、
自分からしゃべってしまった方がいいような気がする。

「あ、そうか。この棺を開けたのがサギリじゃない別のやつだったら、こいつが起き上がって襲ってくるって仕掛けか」

「えーー? ホントに? それって、すっごくやな感じじゃん? こんなのが動いたら気持ち悪いよ。それにこんな石のやつに襲われたら、死んじゃうじゃん」

「ですから、そのためにこんな石をわざわざ集めたんじゃないでしょうか」

少し離れて石人形を見つめ、気配を探ってみる。
そこにはなんの気配も感じられず、
ただ、石が置いてあるようにしか見えなかった。

「ただの石じゃん」 

「だーかーらー、おめーはサギリだから、その呪いは発動しなかったってことだろ」

「でも、少しくらい、なんかの念を込めたとかの気配って感じるもんじゃないの?」

例えば、旅立ちにあたって
サギリがサトオサからもらった紙のヒトガタは、
サトの外でも無事にいられますように、
というひとびとの念が込められている。
それは、見た目はただの紙でも、
サギリのようにカムナギの力のあるものには違って見える。
なにがどうと説明はできないが、
念を込められたものには他の紙にはない
なにかがあるといったらいいのかもしれない。

サギリは「奥行きがある」という言い方をしていた。

「これには奥行きがないよ?」 



[第八章・西のホラ -35]へ、つづく
10日夜12時ごろ更新予定!

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