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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
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「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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第八章・西のホラ -10

この洞窟はこんなに長かっただろうか。 

息が切れるくらいに走っているのに、
岩室への出口がない。 
黒い岩肌の通路がうねうねといつまでも続いていた。
枝道がない一本道なのが救いだった。
とりあえず、迷う心配はない。

不思議とこの暗い洞窟自体が怖いとは思わなかった。
手の中で光る桃の実のおかげかもしれないが、
怖さでいえば、後ろに置き去りにしてきた
得体の知れない老女の方がずっと怖かった。
走っていく前方に危険はないと、サギリはなぜか確信していた。

「シナツヒコ、ワカサヒコ!」 

サギリは走りながら、
自分の守護だという二人の神の名を呼んだ。
ここは、たぶん本当の西のホラの洞窟の中ではない。
何者かの意志によって、現実の洞窟から切り離された幻の場所だ。
いつどうやって、どうして、
現実の場所からここへ移動してしまったのかはわからないけれど、
シナツヒコとワカサヒコと切り離され、
サギリだけがこちら側に来てしまったのだ。
この場所を抜け出すには
直前まで一緒にいたはずのシナツヒコとワカサヒコに
呼んでもらうしかないのではないかと、
走り続けて朦朧とした頭でサギリは考えた。
ここに一緒にいないということは、
二人はまだ現実の洞窟の中か入口の辺りで、
サギリを見失って戸惑っているんじゃないだろうか。

「シナツヒコー!!」 

狭い洞窟の中で叫んでいるというのに、
サギリの声は少しも響かず、
まるで広い野原で空に向かって声を上げているように
吸い込まれていった。

ワカサヒコーー! ちくしょうーー!! 聞こえてんなら返事しろー! 役立たずどもーーー!! どーやったらこっから出られんだよったくよーー! こんな時くらい役に立ちやがれーーー! シナツヒコ! ワカサヒコーー!」

「……ぉおーい。こっちだ、こっちー……」 



[第八章・西のホラ -11]へ、つづく

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