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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

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第五章・結界門 -5

慌てて追いかけると、結界門を一歩出たそこには
巨大な影が立ち塞がっていた。
その黒い壁に鼻先から突っ込んだサギリは、
跳ね返されて尻餅をついた。

「この結界を破ろうという、
おまえは、何者だ」


殷々と響く声が頭の上から降ってきた。

サイノカミだった。

蛇とのことで結界門を通る儀式は済んだような気になっていたが、
この門を守っているのは元々蛇ではなくて、サイノカミだ。
この古い神はサトができた時からこの場所にあって、
外の様々な力からサトの中を守っている。

サギリは土を払って立ち上がり、できる限りの大きな声を張り上げた。
顔の見えない神は空の上にでもいるようで、
小さな声では聞こえないのではないかと思った。

「私は、カムナギの家の娘、サギリです。死んだとされていた母ヒルメが生きていると聞いたので、探す旅に出ようと思います。ここを通してください。サトオサの許しも貰ってあります」

「死んだ者を探すとは、これは妙なこと。

 そのようなことのためにここを通すわけには、

 いかぬ」


「ハチブとなるのも、覚悟の上です」

「はて、通せぬな」 

このサイノカミとのやりとりは、予想されていたものだった。
サギリは懐から紙でできたヒトガタを取り出すと両手の間に挟み、
念を込めた。

「にぎみたま あらみたま

 あめつち ことだま

 ちから みつみち

 よごと さわに

 いざ」


トナエゴトとともに、ふっと息を吹きかけると、
手の中の薄い紙は青白い炎を発して燃え上がった。



[第五章・結界門 -6]へ、つづく

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このブログは、まだ本になっていない作品を入れておく場所……「引き出し」です。
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