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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

お知らせ
「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

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第二章・ヒルメは生きている? -7

 思わず声に出してしまい、慌てて口を閉じた。

(誰の子供?) 

(私とナギのよ) 

平然とした笑顔でナミは下腹のあたりをそっと触った。
それが本当ならとんでもないことだ。
それが意味することを考えて、サギリは座っているその場所か
ら地面の中に身体がめり込んでいくように感じていた。

「サギリ、サギリ」
「しっかりしてください」

ワカサヒコとシナツヒコの声が遠く聞こえる。

「こいつらの言うことなんか、半分くらいに聞いといたらいいんだから」
「それより今は、ネサクの葬式ですよ」

その言葉にあたりを見回すと、
皆この先どうしたらいいのかわからないというふうに、
ネサクの死体を真ん中に集まっている。

「半分なんて、ひどいじゃないの。シナツヒコ」
「じゃあなにか、三分の一ってか?」
「なあんですってー?」

ナミとシナツヒコのやりとりを聞きながら、
サギリは立ち上がりぱんぱんと手を打った。

「みんな、お葬式の準備を続けてください。お願いします」

サギリが声を掛けると、ほうと一斉に息を吐き出す音がして、
立ち尽くしていた若者達は動き始めた。
ばらばらにされたネサクの死体は今度は苦労せずに
棺桶の中にぴたりと収まり、血しぶきで汚れた祭壇は拭き清められた。
皆で祈りを捧げ、若者達に担がれて棺桶が墓地へと家を出た頃は
もう陽が西へ傾き、淡い夕闇が足元から立ち上がってきていた。



[第三章・ミツハの見送り -1]へ、つづく

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「稀人」の訓読みは「マレビト」
つまり、「マレビト」とは、[稀人舎]を運営している者のことです。
このブログは、まだ本になっていない作品を入れておく場所……「引き出し」です。
お読みになられましたら、ぜひご意見・ご感想をお寄せください。
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