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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

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第三章・ミツハの見送り -6

「ヒルメが、アキヅが外に出ることに酷く怒ったのさ。
もう帰ってくるな、おまえなんかもう妹とは思わないって、
怒鳴り散らしてね。
大人になってから、あんなに大声を出したヒルメを私は初めて見たよ。
サトの人たちもそうだったろうから、
まあ、アキヅのことはヒルメのいない今になっても、
ヒルメに遠慮してるってことなのかねえ」

いなくなって、というか、つい先頃までは死んだと信じられていて
十年たっても遠慮されるほどに慕われていたのだ、ヒルメは。

その一の娘だと常に期待されて、サギリはずっと育ってきた。

ときどきこっそり溜息をつきながら。
シナツヒコとワカサヒコ相手に悪態を吐きながら。 

カムナギとして大きな力を持っていたヒルメのことはよく聞かされたが、
それと同じ事が自分にできるとはとても思えなかった。
自分にできることといえば、
他の子供達より少しばかり変わった友達が見えるということだけだった。

「そのお友達の言うことによーく耳を傾けて、だな」 
「心を澄ませていれば、本当の言葉が聞こえてくるわけですよ」 

シナツヒコとワカサヒコはすましてそんなことを言うが、
彼らの言葉に神託としての深い意味があると思えたことはなかった。

でも、サトの人々はことある毎にサギリとヒルメを比べ、

「やっぱりヒルメの娘だからねえ」 

というのが常だった。

他の子より早くに読み書きができるようになったとき、
かけっこでサトの誰よりも速く走れたとき、
家の手伝いの水くみを毎朝やっているとき、
縫い物が下手でいつまでたっても刺し子の模様をうまく縫えなかったとき、
朝寝坊をしてネサクに小言を言われたとき…

不思議なのは、よくできたときだけでなく、
縫い物など人よりうまくできなかったときも

「やっぱり…」

と言われることだった。



[第三章・ミツハの見送り -7]へ、つづく

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「稀人」の訓読みは「マレビト」
つまり、「マレビト」とは、[稀人舎]を運営している者のことです。
このブログは、まだ本になっていない作品を入れておく場所……「引き出し」です。
お読みになられましたら、ぜひご意見・ご感想をお寄せください。
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