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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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第三章・ミツハの見送り -4

「このサトを出て北に向かうと、
 ミナカタノミナトという海沿いの街があることは知っているね」

急に変わったミツハの話題に付いていけず、
サギリはとっさに言葉が出なかった。

「北に二日ほど歩いたところにあるミナトだよ。
 春と秋に男たちが買い出しにいくだろ」

ミナカタノミナトに行ったことはなかったが、知っていた。
そこの港からは西方に向けて船が出ていて、
珍しい品物がたくさん並ぶ市が立つということだった。
年に二度の交易の男たちは、
サトでは作れない便利な道具や、珍しいおもちゃなどを持ち帰った。

「知ってるよ。サヅチの兄さんが春に行ってきて、
 土産話をしてくれたよ。
 海のそばの家はみんな石でできてるんだって」

「サトを出たら、まずそのミナトに行きなさい」

サギリは元からそのつもりだった。

アシワラノヤチのサトから近い大きな集落といえば、
南の山を越えた所にあるハニヤスノクボノサトか、
そのミナカタノミナトの二つだ。
どちらも歩いて二日ほどの行程だったが、
山越えよりも川沿いに平地を海に向かって下る方が楽だろうし、
それに西の土地と交流のあるミナカタノミナトの方が
いろいろな情報を得るにはいいだろうと思っていた。

しかし、ミツハの言おうとしていることは、
そんなサギリの思惑とは別の所にあるらしいことは、
そのひそめた口調からわかった。

「ミナカタノミナトには、ヒルメと私のもう一人の妹がいるよ」 

重大な告白をするように、ミツハはゆっくりと言った。



[第三章・ミツハの見送り -5]へ、つづく

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