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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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第三章・ミツハの見送り -3

「うん、私もヒルメのことはよく覚えていないもん。
ミツハが本当のお母さんだって言われてたら、そう思ってたよ、
きっと」

寂しげなミツハを喜ばせようと、サギリは子供らしい甘え声を出したが、
ミツハが自分の母親でないことは、人に言われるまでもなく
わかっていたことだった。

ミツハと自分では見えるものがまったく違う。 
ミツハに見えない神々と自分は話し一緒に遊ぶことができる。
それは、四歳の子供の頃からわかっていた。

「いいんだよ、わかってる」

ミツハはサギリの頭を優しくなぜて微笑んだ。

「おまえは本当にヒルメにそっくりだよ。私の子なんかであるはずがない。皆に慕われ敬われているヒルメのことが、私は誇らしかったけれど、でも、ヒルメのようになりたいと思ったことはなかったよ。ヒルメはカムナギとしてのあんなにも強い力を持っていたから、なにか大きな重荷をいつも一人で背負っているようだったよ。ヒルメが死んだと聞いたとき、私はこれでヒルメも楽になれただろうと、なんだかほっとした気持ちになったものさ。そして、おまえを育てることになって、あのヒルメのような力がおまえには身に付いていませんようにと、祈るような思いだったよ」

ミツハは静かに話しながら、
縫い上がった飾り帯をサギリの腰にきつく結びつけた。
その飾り帯に、イワサクが放り出していった鉈を差し込む。
ネサクの血で洗われたその刃物は、サギリの旅の守りとなるだろう。
そうして支度のできたサギリの姿を見上げて、ミツハはまた微笑んだ。

「でも、おまえはどんどんヒルメにそっくりに育っていったよ。私には見えない神々と遊んでいるおまえを見て、今度はおまえがヒルメのように一人で重荷を背負うようになるのかと、とても悲しかったよ。でも、今ヒルメが本当に生きているのなら、そのヒルメを助けてやれるのはサギリしかいないってことは、私が一番よくわかっているつもりだよ」

「ありがとう」 

ミツハの言葉にか、帯を結んでくれたことにか、
どちらにともつかない感じで、サギリは礼を言った。

ミツハの改まった話が少し照れくさかった



[第三章・ミツハの見送り -4]へ、つづく

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