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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
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第七章・狐 -4

まさか自分が言うことになるとは思いもしなかったが、
このような場合の言葉は十四になって
サトの娘組に入るときに教えられていた。

サトの子どもは誰でも十四になると
男は若衆組、女は娘組に入り、
その家筋や年齢によって様々な仕事を任された。
同時にそれは結婚ができる年齢になったということも意味していた。

今年の正月に十四になったサギリも、
額を見せる形に髪を結い上げて娘組の集まりに初めて加わった。
ひとつ年上で幼友達のサヅチが
こまごましたしきたりや結婚の際の決まり事などを説明してくれたが、
説明の後には必ず

「でもサギリはカムナギになるんだもんね」 

という言葉が付いた。

実際冬も春も過ぎ夏ももうすぐ終わろうとしているのに、
サギリは他の仲間とは違って季節の祭の仕事も割り振られず、
結婚の申し出もなかった。

神々の声を聞くとこのできるカムナギの娘は、
本来結婚はしないものなのだ。 

ヒルメがネサクと結婚したのは、
その母であるカヤノの三人の子がすべて女の子だったからだ。
それでも一番力の強い娘は結婚はせず、
次の娘が婿を取って跡取りを成すということは、
先祖の例にもあったことだ。
叔母のミツハがその役目のはずだったが、
ヒルメは自分で子を産むと言って譲らなかったのだそうだ。

出産を経験するとカムウラの力は衰えると言われていたが、
サギリを生んだ後もヒルメは類い希な力を発揮し続けたという。

ヒルメのカムウラに従って備えをしていれば
大雨も大風も大過なくやり過ごすことができたし、
ヒルメのハライゴトは山の獣もバケモノもサトに寄せ付けず、
皆は安心して暮らすことができた。
ヒルメは神の声を聞くだけでなく、
山や川の神々を自由に操ることができるのだとも言われていた。
ヒルメがカムナギだった十数年間、
このアシワラノヤチノサトは本当に豊かで穏やかだったらしい。

サギリはその特別な力を持ったヒルメの娘なのだ。

「あの、ヒルメの娘なのだから」 

本当にその言葉は聞き飽きた。
確かに他の人には聞こえない神々の声を聞くことはできたが、
それ以外に自分になにができるのか、
なにを期待されているのかはわからなかった。

「いずれ、いやでも知らされる時がくるよ。
 その時には自分ひとりで道を見つけていかなければならないね。
 私にはなんにもしてやれないんだよ」

不安を口にするサギリに、ミツハはそう言った。
寂しげな顔と声を思い出しながら、
今がその時なのだろうかとサギリはぼんやりと思っていた。



[第七章・狐 -5]へ、つづく

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