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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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第七章・狐 -17

家が新築されたときには
招かれた最初の客が、祝いの餅や酒と一緒に持ってきて、
戸口の近く、それはたいがい竈の近くでもあったが、
その決められた場所に掛け置いて、わざと忘れて帰る。
そうすることによって、この家には今客がいますよ、という印になり、
たまに結界門を越えてサトの中に入り込む地霊達やバケモノは、
先客がいるのなら、とその家の中まで入らずに通り過ぎるのだ。

サトの春秋の祭の際など、
比較的結界門の力が弱くなっている夜、

「ここも駄目だ」「この家もだ」 

と呟きながら、ぞろぞろとサトの東西に通じる道を通り過ぎる
大勢のモノ達の気配は、サギリのようなカムナギでなくとも、
誰でも感じることのできるものだった。

なにかの拍子にうっかりとその簑笠をはずしたままにしていた家は、
たちまち地霊どもに占領され、
翌朝にはもぬけの空であったとか、
全員が布団の中で冷たくなっていたとか、
その時にひとり行李の中に隠れていて助かったの赤ん坊が、
今のあそこの家のじいさまなのだとか、
そんな話はどの家でも囲炉裏端の昔語りで山ほど聞かされていた。


サギリが手に入れた簑笠は、
肩に羽織ると裾は地面に引きずるほどで、
小柄なサギリの身体全体をすっぽりと被ってくれた。
長い間に降り積もった煤のおかげでずっしりと重かったが、
その黒い表面はうまい具合に雨の滴を弾いてくれるようだった。

「これで、下手な地霊どもは手出しできねえだろ」

「オオヤマツミの屋敷までなら、日のあるうちに着けるでしょう」

目の前に白い薄絹を掛けられたようなひどい雨の中に出て、
サギリはまず西の山のホラへの道へ向かった。

「まず西のホラに行ってみなくちゃ」

「ヒルメの墓を暴くつもりかよ」 



[第七章・狐 -18]へ、つづく

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