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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

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第七章・狐 -11

狐に憑かれたという者は、サトの中でも何年かに一人は現れた。
大抵は若い娘で、両目が吊り上がり獣のような唸り声を上げて
四つ足で動き回ったが、姿は人間のままだった。

三方を結界で結んだ部屋に閉じ込めてハライゴトをすると、
憑いた人間の口を借りて
自分はどこそこの山の何某という狐であると名乗りをする。
そして、供え物をせよとか木を切るなとかいった願い事を言って、
その約束を取り付けると去るのが常だった。

憑かれていた者はしばらくすると元に戻り、
その家の田は例年よりも多くの稲穂を実らせた。 

だから、狐に憑かれた娘はその後
幾人もの求婚者に悩まされることになるのだった。

「サトのソトだったってのがきいてんだろ」

「しかし、憑かれて狐になったからって人間襲いますか、普通」

「どうも、いやな感じだな」

遠い世界の物音に耳を傾けるように、
ワカサヒコとシナツヒコは腕組みをして半眼になった。



[第七章・狐 -12]へ、つづく

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「稀人」の訓読みは「マレビト」
つまり、「マレビト」とは、[稀人舎]を運営している者のことです。
このブログは、まだ本になっていない作品を入れておく場所……「引き出し」です。
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