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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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第一章・アシワラノヤチノサト -10

「じゃあ、いいです。死体は持って行ってください 

死体に意味はないとシナツヒコがいうように、
ここにあるネサクの死体は、ただの抜け殻だということはわかっている。
それをイワサクに渡すだけなのだと思っても、
まだ生きていたときと同じ姿をしたネサクの死体を渡してしまうのは、
やはり少し寂しい気持ちがした。

「そうかね。いいかね。じゃあ持っていかせてもらうかの」

サギリの答にうんうんと頷いて、
イワサクはネサクの死体を土間に置かせた。

ネサクの身体は大きい。
普通の大人の男たちが肩に届かないくらいの身長があり、
胴回も両手が回らない太さだ。
この大きな死体をどうなって運び出すのだろうと皆が見守る中、
イワサクは帯に挟んだ鉈を取り出した。

当惑する皆を無視して、イワサクは驚くほどの手際の良さで、
ネサクの身体を切り分け始めた

大量の血が飛び散り、
棺が据えられた葬儀のための祭壇は赤黒く斑に染まる。

「これだから異端の者は」 
「やることがどうも生々しい」 

血しぶきの届かない隅の方に寄り集まって、
他の者達はイワサクが黙々と鉈を振るうのを眉を寄せて眺めていた。

せっかくの真っ白な衣装が
みるみる赤く染まりずたずたになっていくのを見るのは、悲しかった。
しかし、この鉈で切り分けることも含めて、
龍使いの家のしきたりなのだと言われれば、黙っているしかなかった。



[第一章・アシワラノヤチノサト -11]へ、つづく

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