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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
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「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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「素戔鳴流離譚・其ノ二」第四章・おふくろ-5

このおふくろに、どこまでどうやって話してよいものやら……。
まず、あっちの世界・イズモノクニってのが
存在するってとこから話さなきゃならない。
んでもって、俺はそこに行って
名前どおりの日本神話の主人公になったあげく、
やっと会えた親父らしきジジイに、
わけわからんこと言われて追い返されたってことまで、
どうやって、この思い込みの激しい、
だけど、この家からほとんど出ないで暮らしているような
おふくろに理解してもらえばいいんだろう?

「早くおっしゃいな。またなにかお話ししにくいことですの? きちんとお話ししないのはスサノオの悪い癖ですよ。いっくら大きくなった息子は母親と口をききたがらないって言ったって、今はそんなこと言っている場合じゃありませんでしょう?」

いや、俺だってそんな場合だとは思ってませんて。

昨日、ミトちゃんちで洗いざらいしゃべったときは、
俺もイズモノクニから帰ってきたばっかりで、
少しは……いやカナーリ興奮してた。
それに、こっちの世界では1秒とたってない間に、
服も髪も顔もズタボロになった俺の姿っていう、
動かしがたい証拠もあった。
とっさに都合のいいウソを考えつく頭なんか
持ち合わせてない俺は、
救急車覚悟でホントのことを
べらべらしゃべらざるを得なかった……んだと思う。
そう思いたい。
そして、その判断が正しかったんだと、思いたい。

でもな、ツキミの言葉が今、
なんだか妙にリフレインしちゃってんだよ。

「なんもかんも正直に話して楽になんのは自分だけやないか」「あんたはそうやって大変な自分やー、かわいそうな自分やーゆって、みんなに同情してほしい思てんか?」

ツキミには、「それは違う」とか偉そうに言った俺だけど、
かなりキテますね、これは。
おふくろに、余計な心配をかけたくないってか?
うーん、俺ってそんな殊勝なキャラじゃなかったような……。
どっちかってーと、アレだ。
なんもかんも正直に話したその結果がどうなるのか、
それが心配。

そう、心配なのは俺の方だ。

じゃあ、ミトちゃんたちにはそんなこと考えなかったかってーと……、
考えなかったんだよなー。

それはなぜか。

それは、ミトちゃんのお父さんもお母さんも他人だから。
俺が東京に帰ってきてしまえば、
もう一生会わないかもしれない、
そんな人たちだから、
どんな思いをさせようが、心配をかけようが、
そんなの関係ねえ!って言ってられっから。
ミトちゃんには夏休み明けには会うことになるだろうけど、
それでもこの一ヶ月は会わないですむ。
その後だって、会わないようにしようと思えばできる。
そんで、その彼らが俺のいないとこでどんなことを話そうが、
どんなことを思おうが、俺にはもうどうしようもないから。
その、どうしようもないっていう免罪符でもって、
俺はだらだらとダダ漏れに話しちゃったんだよな。

そうなんだよ。

でもな、おふくろは違う。
おふくろは俺の母親で、しかも同じ家に住んでる。
これから毎日毎日顔を合わせなきゃなんないんだよ。
そんなおふくろが、俺が話すことのせいで、
あれこれ考えて、考えすぎてヘンなんなったりしたら、
俺はどうしていいかわかんない。
それがイヤなんだ。

これってナニ?
自己保身?
我が身かわいさ?

ああ、ツキミはこういうことを指して
「甘ちゃんや」って言ったのかな。



「素戔鳴流離譚・其ノ二」第四章・おふくろ-6 へ、つづく

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