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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」第六章・アシワラノヤチノサト-14

「ああああ、あのあの、お先にどーぞ」

腰は低く、丁重に〜。
私どもは敵ではアリマセーン。
アナタガタニキガイヲクワエニキタノデハ、
アリマセンデース。

隣で親父がため息をつくのが聞こえた。
親父、さっき俺と会ってからため息つきっぱなしですね。
ため息は身体に悪いんですよ。

「あなたがたは、どちらからいらっした方々なんでしょうかの。この辺りではとんとお見かけしねえ方々ですけども」

手に大きめの鉈みたいなのを構えてるわりには、
丁寧な言葉遣いだ。
ちょっと安心。
なにがなんでも、
すぐに俺らを袋だたきにする気はないみたいですよ。

ほっ……。

しかしね、どちらからって言われてもねえ。
あっちの世界からなんて言って、
この人たちに通じるもんなのかわからんし、
なんて言ったらいいんかねー。
ねえ、お父さん?

「わしらは、トリカミノサトから来たものじゃ」

あ、そうきましたか。
ウソじゃないしな。
親父は昨日まではトリカミノサトにいたんだし、
俺もその後、異世界通路行ったり来たりしたけど、
トリカミノサトにいたのはホントだし、
おふくろだって、二十年前まではそこで暮らしてたんだもんね。
うんうん、ナイスアンサー。

ちょと姑息な気もしないでもないけどさ。

「トリカミノサト、ちゅうと……?」

あら?
トリカミノサト、知らないみたいですよ?

「あの、八つの山の向こうにあるサトじゃ。わしらはそこから旅してきたんじゃが、途中、ちと難儀に遭うての。ここのカムナギの家に知り合いがおるはずじゃったと思い出して、少し休ませてもらえんものかと、立ち寄ったんじゃが……」

「カムナギさまは、今いらっしゃらないですよ」

団体の後ろの方で、おばさんの声がして、
その周りの人たちが大慌てだ。

「なに、よそもんに勝手に教えてんだ!」
「んなこと、言うもんでねえ!」
「あほ!」
「ばか!」

こそこそ言う声だったけど、まる聞こえ。
そりゃそうだよね。
カムナギってのは、この前のサギリから聞いた話だと、
サトごとにいるシャーマン的存在。
てことは、結構重要人物じゃん?
その重要人物が今サトにいないなんてことを
うかつによそ者に言ったりしたら、
どんなことになるのかわからん。

おばさん、フライング。
減点いち、って感じ?

「あ、いやー、カムナギが今このサトに不在なのは承知しておる。カムナギの家のミツハというおなごはまだおられると思うんじゃが、取り次いではもらえんだろうかの」

なんか偉そうだよ、親父。
いいのか? 頼み事してる立場でさ。
もちょっと、そのー腰低くした方がいいんではないでしょうか。

「そういうあなた方のお名前はなんというのでしょうかな? それをお聞きしないと取り次ぎようもありませんの」

ほらね。自己紹介はちゃんとしなきゃ。
で、なんでそこで俺の顔を見るんですか、お父さん。

「…………。」



「お名前は?」

聞かれてるよ?

親父はなんだかよくわかんねえ目配せを俺にしてから、
鉈持ったおっさんに向き直って、
おっほんなんつってわざとらしく咳払いなんかしてから、言った。

「わ、わしの名は、スサノオ、じゃ」

なんで俺の名前ーーー!?



「素戔鳴流離譚・其ノ二」第六章・アシワラノヤチノサト-15 へ、つづく

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