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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」第五章・書斎、そして墓場-4

それは、ずいぶん前からの疑問だ。
だって、こいつらってずーっと俺のそばにいるんだよ。
姿が消えてるときもあるけど、気配はしてる。
今みたいに俺がこいつらと話してるのを見てたりもする。
親父に聞いてたからって言うけど、
自分に見えないモノと話してる息子を見ても、
笑って「お友達とは仲良くね〜」とか言ってる母親って、
超めずらしいと思うんですけどね。

ホントは見えてんじゃねえの?

「いや、あれは見えてねえだろ」

なんで、そう言い切れる?

「そういったことも含めて、龍吉の設定なんですよ」

設定? なんの設定?

「キャラ設定っつうかな。俺らの」

またまた、よくわからんことを言い出しましたよ。
この神様たちはよ。

「人間が、われわれのようなモノに姿と名前を与えて、実体をともなう存在に作り上げたときには、その性格や能力の設定までも操作できるということです。われわれがスサノオのことに関してはなんでも知ることができて、その情報をもとにスサノオを守ることができるとか、サクヤさんには見えず、声も聞こえないとか、それと、サクヤさんの出自を高木家のお嬢さんだと思い込むとか、そういうキャラクター設定ということですね」

ああ、アニメとかゲームとかのメイキングでよく見る設定集みたいな、そんなもん?
線画で絵が描いてあって、引き出し線がついてていろいろ書き込んであんだよな。
身長とか服の色とか。あと、キャラデータとかいって、
誕生日とか好きなものとか嫌いなものとか……。
もしかしてそこらにある親父のノートには、そんな絵が?
いやたぶん、そうじゃないと思うけど。

「ま、今は誰にでもできることじゃねえんだけどよ。龍吉はいろいろと力の使い方を知ってたからな」

んなこと、誰にでもできたら大変ですよ。
そこら中、自分の都合のいい神様だらけになっちゃうじゃありませんか。

ん? それってー。

「そうです。昔は、みんな自分に都合のいい神様を作り上げて、それで自分や家族やいろんなものを守ってもらってたんですよ。今の人間はその力を忘れてしまっているだけなんです」

「神様だけじゃねえぞ。世界のもっといろんな設定をいじれるんだ、人間はな。でもま、それやり始めると、いろいろとしんどいみてーでさ、そんなめんどうなこた一部の特殊な能力を持ってるヤツに任せて、他は楽な道を選んだってとこじゃねーの」

「世界の設定までいじり始めると、どこかで揺り返しがきますからね。いじった人間が責任を取らされると言いましょうか……」

特殊な能力持ったヤツってのは、
要するに、俺とか親父とか、そんなヤツらってことですかね?
んでもって、そういう人間がいろいろと責任を取らされるって、
そう言いたいわけですか?

うわーーーん。

久しぶりに「普通の人間になりたーい」の衝動が沸き起こってきましたよ。
叫んでもイイデスカ。



「素戔鳴流離譚・其ノ二」第五章・書斎、そして墓場-5 へ、つづく

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