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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
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「素戔鳴流離譚・其ノ二」第五章・書斎、そして墓場-24

回りはやっぱり岩壁。
直径三メートルくらいのドーム型の岩室だ。
どこかから光が差して、ほんのり明るい。
見上げると今までの狭い通路とは打って変わって、
ここはとんでもなく天井が高い。
上ーーの方に穴が開いてるらしく、
その辺りはなんつーか乳白色のもやに煙ったようになっている。
あそこまで登れたら、
この閉所恐怖症でなくてよかった俺!的な洞窟から
脱出できるんだろうけど、
それはどう考えても無理みたいデス。
回りの壁は見事なまでに手がかり足がかりなしのつるんつるんの岩壁で、
しかも上に向かってオーバーハングっていうご丁寧さだよ。

わざとかコラ。

てなわけで、いやいやながら、
もうひとつの出口らしき部分に目を向ける。
ええーと、これって、

俺に水泳しろと、

そうゆうことでございましょうかね?
水が溜まってるですよ?
ここの床は向こうに向かって傾斜してるらしく、
三分の二くらいが水没してるです。
俺の足下が波打ち際って感じ。
でもって、一番向こうの深くなってるところに
ぽっかりとトンネルが口を開いている。
ちょうど人がひとり通れるくらいのさ。

あそこを通れということなんでしょうなあ。

でもなあ。
そのトンネルの入り口ったら、
水面から五十センチくらいしかないんですのよ。
そこのあたりの水の深さは不明。

ミトちゃんちの祠からの簡単異世界通路とは、全然違う、
ある意味正統派なこのダンジョンてなによ一体。
俺が簡単通路に文句言ったのがいかんかったのかそうなのか。
枝道とか隠し通路とかがないのがありがたいですよ。ホント。

わかりましたよ、行きゃあいいんでしょ行きゃあよ。
ざぶざぶ。

三歩くらいいったとこで、水はいきなり深くなって、
俺はもうちょっとで水の中ですっころぶとこだった。
ふいーあぶねえあぶねえ。
服なんかもうどーでもいいけどさ。
食料やら親父のノートやらが入ってるバッグが濡れるのは勘弁ですよ。
防水じゃないし。
背中のバッグを頭の上に乗っけて、水の中を歩く。
ああもうパンツまでぐっしょりだ。
ここ抜けられたら、どっかで乾かすか着替えを見つけないとな。
そんなことできんのか?

だいたいこの先って、どこ?

水の中は暗くて足下は全然見えないから、
つま先で段差がないか探りながら歩く。
ただでさえ水の中で動きにくいのに、進まねえったらもう〜。

トンネルの入り口付近の水は、
俺のへそくらいまでの深さだった。
足がつかない深さだったら泳ぐのか?とか思ってたけど、
このダンジョンではそこまでのスキルは要求されないようだった。
はあ、そんなんはもうちょっとレベルが上がってからにしてね。
服のままで泳ぐのは大変なんですよ。
小学校んときに着衣水泳ってのやったんですけどね。
あれはマジ大変だった。
なんでこんなとこでっていう小さい川に落ちて溺れるのもわかる。
みなさんも一度やってみるといいですよ。
あ、川に落ちるんじゃなくて、プールでね。
もち、監視員付きで。

で、ここには監視員なんかいないから、泳がなくてもすんでよかったけど、
トンネルにはまた腰をかがめないと入れないっつう罠だよ。
くそー。

「ツキミー」

トンネルに首をつっこんで、呼んでみる。
トンネルはありがたいことに二メートルばかしで終わっていて、
その先はまたぼんやり明るい光が水面を光らせていた。
パシャンと、小さく水音がしたような気がした。

「ツキミー! 待てこらー」

狭いトンネルの中で大声を出すと耳が痛い。
「うわんうわんうわん〜」と、自分の声が反響する。
すぐそこに出口が見えてるってのに、
水をかき分けてしかも腰低くして歩くってのは、ホント進まねえ。
アクアウォーキングはダイエットに最適ですよ。腹減った。

やっとこさ、出口のふちに手をかけたとき、
ザバッと、今度ははっきりとした水音が聞こえた。



「素戔鳴流離譚・其ノ二」第五章・書斎、そして墓場-25 へ、つづく

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