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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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「素戔鳴流離譚・其ノ二」第五章・書斎、そして墓場-13

今、そこの階段を降りてった後ろ姿は……。
んんん?
急いで階段のとこまで行って、下を見てみたけど、もういない。

うーーん……。

「どうしましたの〜? スサノオ〜。どなたかお友達でもいた?」

いや、友達ってーか、むこうは絶対そうは思ってないでしょうけどね。

「うん……。昨日、一緒に帰ってきたツキミっていう一年の女の子なんだけどー。他人のそら似だと思う」

子供みたいな細い小柄な体型。
ノースリーブの袖から伸びた腕はこんがり小麦色。
ちょっと茶色っぽい長い髪の毛を、
頭のてっぺんあたりでポニーテイルにしてる。
……似てたけどなあ。

でもなあ。

こんなとこにツキミがいるわけもないしー。
っていっても、
俺はツキミが東京でどこに住んでるのか知んないんだよな。
まさか、俺と同じ街?
まさかなー。
ツキミは一人暮らしのはずだから、
普通は通学に便利なとこにアパートとかマンションとか借りるよなー。
ここらって、都心から快速に乗れば三十分くらいの、
そーゆー意味では便利な住宅地だけど、
でも、俺らの大学へは乗り換えがあって、
ヘタすると一時間くらいかかったりもする。
それに、あんまし一人暮らし用のワンルームマンションとかはないから、
大学の同級生とかで、ここらに住んでるってヤツって聞いたことないんだよな。
年寄りとか家族連れとか多いから、若者向けの店とかもそんなにない。
そんな街。
せっかく親元離れて一人暮らしなのに、こんなとこに住まないよなあ。

「スサノオのことが好きになっちゃって、追っかけしてたりして〜」

恐ろしいこと言わないでください、オカアサン。

「そりゃないでしょ。昨日もちょっと話したけど、ツキミって、なんか知んないけど、ってか、なんでかはわかったんだけど、俺には納得できない理由でもって、俺に怒っちゃってて、昨日なんか新幹線の中で向き合ってたのに、一時間半もずーーっと無言だったんだよ? 居心地悪いの悪くないのって、すげー悪いんだけどさ。乗り換えのときなんか、挨拶もなしにどっかいっちゃって、それっきりのヤツだよ? そんなのが追っかけとかって、そりゃねえよ。そうだったら、キモイってー」

「ふ〜ん、そうかしらねえ〜」

俺がツキミにどんだけヒドい目に遭わされたか、いくらしゃべっても、
おふくろはなんだかニコニコして聞いてるし。

ってか、聞いてますかー俺の話ー。

「じゃあ、ストーカーだわっ」

もしもーし。

「おんなじことじゃねーかよっ。ストーカーってのは、相手を好きなのがエスカレートしちゃって、相手が迷惑なのにつきまとうことだろ? ツキミは俺のこと嫌ってんだってば」

「あら、そうなの〜。ストーカーって、相手のいやがることをすることなのかと思ってましたわ〜。だから、嫌いな相手にすることなのかしら〜って、お母さん思ってたんですのよ〜」

なんですか、その中途半端な知識は。
ああ、でもそういうこともあるのかな。嫌がらせストーカー。
うーーん……わかんなくなってきた。
でもでも、ツキミに関してはそんなことはない。
うん、ないよ。
いっくら俺のことが気に食わなくて嫌いでも、
そんな嫌がらせとかするようなヤツじゃないって気がする。

全然根拠ないけどな。

それに、ツキミの俺に対する「嫌い嫌い」の感情って、
俺をやっつけたい「嫌い」じゃなくて、
俺がそばにいてほしくないっていう感じの「嫌い」なんだと思うんだよな。

これも根拠ないけど。

だったら、つきまといとかする意味ねえじゃん?
俺のそばに寄らなきゃいいだけの話だもん。
夏休みが明けたら、学校では会っちゃうかもだけど、
休み中はわざわざ近寄る必要なんかないもんな。

だから、階段を降りていった後ろ姿は人違いに決定。
うんうん。

ああでも、俺には人を見る目なんかありませんからね。
ツキミのことなんか、全然わかってないのかも。
あいつがなに考えてるかなんて、さっぱりすっかりわかりませんよ。

「あ、ほらほら、やっと電車がきましたわ」

ツキミの怒ったり怒ったり怒ったり(そればっか)の顔を思い浮かべて、
ぐるんぐるんしてた俺を電車の乗り口に向かって押しながら、おふくろが言う。

振り返って見ると、あいかわらずおふくろはニコニコしてた。



「素戔鳴流離譚・其ノ二」第五章・書斎、そして墓場-14 へ、つづく

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