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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
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「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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「素戔鳴流離譚・其ノ二」第三章・帰京-7

「高木先輩〜」

頭ん中ぐちゃぐちゃのまま、戻った部屋の中で仁王立ちになってると、
ミトちゃんがやってきた。

「お支度、すみましたかしら〜」

「はいはいはい、すんでますー」

お支度ってほどのもんでもないですけどね。

「少し早いですけど、駅まで行ってしまいませんか〜? 駅前においしいおうどん屋さんがあるんですの〜。電車が来るまでのお時間、早めのお昼をそこでいかがでしょうかしら〜」

いいですねいいですね、ミトちゃんとふたりっきりでおうどん。
これですよ、俺がこの旅行に望んでいたものは!
帰る間際になって実現。
どんな事情だかわからないけど、ツキミの病院に感謝。

俺がカクカクうなずくと、
ミトちゃんは「じゃあ、お車呼びますね〜」と、廊下を走っていった。
「お車」とは、タクシーのことらしい。
ちょうどいいバスがないときは、タクシー利用が普通なんだってさ。
東京じゃあ、そんな贅沢なって感じだけど、ここらでは普通なことみたい。

「父がお送りできればいいんですけど〜。今日は学校の用事で車を使うみたいで〜。ごめんなさいね〜」

いえいえ、そんな。
ミトちゃん、なんだかあやまってばっかですよ。
俺なんかにあやまんなくていいですよ……
なんて言っても、さらにあやまっちゃうんだろうなあ。
そういう性格なんだろうなあ。
お姉さんと似てるかも。

ああ、なんか、ギクシャクですよ。
気まずいなあ……。


なんでこんなことになっちゃったかなあ。
昨日までは(こっちの世界の時間で昨日ってことね。ああややこしい)、
俺はミトちゃんのご両親と仲良くなって、
あーもあろこーもあろって、将来の夢が膨らんじゃってたのになあ……。

それもこれも!
みんな、あのクソチビハゲ親父のせいだ!


あの親父のせいで俺はここの裏山から
イズモノクニなんて異世界に突入することになっちまって、
んでもって、親父が遺していった道返しの玉なんてーアイテムのおかげで、
時間まですっ飛ばすことになって、
そうなったせいで、いろいろ説明しなきゃなんなくて……
その結果、俺はミトちゃんのご両親にとっては
アブナイ奴ってことになっちゃったんだよっ!
「ハヤクカエレ」って顔に書いてあるんだよっ!
俺には見える。
肝心の親父は「アマノマヒトツノカミ」になっちゃってて(なにそれ)、
結局連れて戻れなかったから、俺の話に説得力は皆無だし。
それに加えて、ツキミがまたなんでか知らんけど、
俺にむちゃくちゃ腹立てて絡んできやがって、
余計な喧嘩しちゃって、俺悪者になっちゃって、
イメージ暴落だもんな。

なんかもう……。
俺にどーしろってんだよって感じ。
せっかくミトちゃんの家にまでご招待されたってのに、
親御さんに嫌われてどーすんだよ。とほほのほ。

「まあまあ、まあまあ、気を付けて気を付けて〜」
「ああ、まあ、いろいろ大変そうだけど、スサノオくんもがんばってくださいよ」

いくら内心では「ハヤクカエレ」と思ってたって、
社会的常識人のご両親は、
神社の石段の下、古い鳥居のとこまで笑顔でお見送りだ。
さすがに「また来てね」は言わないけどな。
いいですよもう。

だけど、ここにはイチコさんがいるんだよな……。

「あの、いろいろお世話になりました」

「いいえーいいえー、なんのお力にもなれなくってねえ」

いやいや、そんな。それよりも、ですよ。

「あのあの、もしかしたら、この後もなにかお力を貸していただくことがあるかもしれないですけど、その時はまた、どぞよよよろししく」

噛んだ。
お父さんとお母さんは「えー?」って顔してるし。
でも、しょうがないじゃん。
イチコさんのことでまた来ることになるかもしれないしさ。
来なくてもいいのが一番だけどさ。



「素戔鳴流離譚・其ノ二」第三章・帰京-8 へ、つづく

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