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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」(すさのおりゅうりたん・そのに)、連載開始!
最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
最終回はこちら→[第八章・西のホラ -47]   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです。

「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
最終回は、こちらです。→[終章 -15]  最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらからどうぞ。

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「素戔鳴流離譚・其ノ二」第三章・帰京-1

ミトちゃんちの朝ご飯は、ほかほかのご飯とお豆腐と青菜のお味噌汁、
それにしょっぱい塩ジャケとあまーい卵焼きだった。
噂には聞いてたけど甘い卵焼きって初めて食べたよ、俺。
結構うまい。

「高木先輩、遠慮しないでおかわりしてくださいね〜」

ミトちゃんがおひつのそばでニコニコ笑ってる。
あーなごむな〜。
昨日の俺のトンデモ話を聞いてもミトちゃんの態度は変わらない。
内心ではどうかわかんないけど、
少なくとも俺に対しては変わってないように見える。
お父さんとお母さんは、ちょっとその、
なんつーか「こいつ、だいじょぶか?」って目で見てるけど、
これはまあ、普通の反応だよね。
普通の生活をしてる普通の人間だったら信じらんないような話だったもんな。
それを、信じらんないけど、
ここは信じた方が八方丸く収まるってんなら信じましょう
っていう、そんな気持ちなんだろうと思う。
まあ、当然。
俺には早く目の前から消えてほしいって、
正直そんなん思ってんだろうなあ。
そんでもって、
「不思議なことを言うやつが来たけど、
 もう自分たちには関係のないことだからね」って、
安心したいんだよね。
わかりますよ、すごく。

でもな、この家にはイチコさんがいるんだよな

「あのー、お姉さんのイチコさんは……」

その先はなんて言っていいかわかんないから、もごもごごまかす。
すいませんね。

「あ、お姉様は、いつもお部屋でご飯なの〜。特に今日なんかは、知らない人がいるから、絶対に出てこないと思うわ〜。ごめんなさいね〜」

いえいえ、そんな。謝りたいのは俺の方です。
しかも、もはや「知らない人」じゃないんですけどね。
そこは話さないでおくことに決めたから、
黙ってうなずくだけにした。
でもでも、あれからイチコさんの具合が悪くなってないか、
それが俺は心配なんですよ。
なんて聞けばあやしまれないで、
イチコさんの今の状態を話してもらえっかなー。

「イチコちゃんは、もうご飯食べたんか?」

ツキミの単刀直入な質問。
家族同然のおつきあいのなせる技だ。
ありがとうツキミ。
んなこと、口に出しては絶対言わないけどな。

「そうなの。そうなの。さっきね。もう済ましちゃったのよ〜。今日はめずらしくご飯を全部食べてくれて、ちょっと気分がいいなんて言ってたのよ〜。ここのところ調子悪そうだったから、よかったわー」

お母さんが嬉しそうに言う。

ああ、よかった。

具合悪くならなかったんだ。
もしかして俺にこのことが伝わることを考えて、
無理して「今日は気分がいい」なんて
お母さんに言ったのかもしんないけど、
でも、そんな気遣いができるくらいには元気だってことだ。
よかった。
思わずにんまりしてしまった俺を
正面に座ったツキミが睨みつけてる。
目からビームが出そうですよ。
なんか気に障りましたかね?
ってか、ツキミにとっては俺、ずっと気に障りまくりか?

「スサノオには関係あらへんやろ。にまにますなや」

ぐさ。ビーム刺さった。

「ええー、ツキちゃん。高木先輩はお姉様のことを心配してくださったのよ〜。ご挨拶もしてなくて申し訳ないのに〜。先輩、優しいから〜」

あ、いやその。
そんなんじゃないんですけど。
ほれみろツキミ。
ミトちゃんに余計な気遣いさせちゃったじゃねーかよっ。
ミトちゃんの優しさを見習えよ。
お椀の陰から睨んでやった。

うきー、俺だっていつもいつもやられっぱなしじゃないんですよーだ。
朝の食卓の上で俺とツキミの目力ビーム合戦だ。

バチバチ。

………負けました。怖いよツキミ。

「あの、俺、なるべく早い電車で帰ろうと思うんですけど、何時になりますかね?」

力なくお母さんに聞いてみる。

「あ、そう。あ、そう。帰りの電車ね。帰りの電車ね。えーと……」

「今からだったら、今からだったら、午前11時半の特急が一番早いんじゃないのか?」

ちょっと慌て気味のお母さんとお父さん。
お愛想でも「まあ、もっとゆっくりして……」なんて言葉は出なかった。
当然か。

「あ、うちもそれで帰るわ」



「素戔鳴流離譚・其ノ二」第三章・帰京-2 へ、つづく

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