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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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第六章・俺の息子?? -5

「藪を漕ぐ」っていうのは、こういうことを言うのかと、
よーくわかった。

腰の高さに茂っている、ワシャワシャのガサガサのチクチクの藪を、

手を伸ばしてー、
ぐいーっとかきわけてー、
そのタイミングで身体を一歩前へー。
また手を伸ばしてー、
かきわけてー、
一歩前ー……。

藪が水で、手がオール?
半袖の俺の腕は、あっという間に擦り傷だらけだ。
山歩きの基本は長袖長ズボン、て習ったよな。小学校の林間学校のとき。んでもって、ジーンズはダメなんだよな。動きにくいから。

全然ダメじゃん。

しかも、藪で見えない足元は、岩あり、倒木あり、ぬかるみありで、
全然平らじゃない。
不用意に足を踏み出すと、すっころぶか足をくじくハメになりそうで、
一歩一歩つま先でなにがあるか確かめながらじゃないと、歩けない。

ふい───っ。

そんな調子なんで、漕いで漕いで漕いでるけど、なかなか前に進まない。
ていうか、進んだ感じがしない。
山の中って景色が変わらないから、どれくらい進んだのかわからないんだよっ。

「なー、これで道、合ってんの?」

後ろのサギリに聞いてみる。サギリにもこの山道は結構きついらしく、
はあはあいう息づかいが、すぐ後ろから聞こえていた。

「たぶん」

「たぶんてなんだよー。間違ってたらどうすんだよ。遭難かよー」

「あたしだってわかんないんだよっ。たぶん合ってるよ。右側から川の音が聞こえてるから。あれが聞こえなくなったらやばいけど、まだ大丈夫。あの川に出られればいいんだけどさ。だから、わかれ道があったら右に行ってよ。わかった? スサノオ」

あいかわらず態度がでかい。中坊のくせに。

わかれ道って、この藪の中が道と呼べるものならなー。
しかし、まわりはびっしりと太い幹の木が生えていて、
枝道のようなものはなかったように思う。
それにたしかに、右方向からは、
古いレコードの雑音のような水音が途切れずに聞こえていた。

ザーザーザーザー、 
シャーシャーシャーシャー、 
ザザザザザ、 
ホケーホケー、 
ジジジジジ……。 

なんか、こう、山の中の音ってずーっと聞いてると、気が遠くなる感じがするね。
おんなじ音の繰り返しだからかな。催眠効果ってゆーか。

「ほらー、早く行ってよ。遅いよ」

「そんなら、おまえ先に行けよ」

むきっ。

「だって、見張ってないと、スサノオ、逃げちゃうじゃんよ。ジヌミのとこまで、ちゃんと連れていかないと」

「もう逃げねえよ。そのジヌミってのに会って、聞きたいこともあるし」

「やっぱ父ちゃんなんじゃん。聞きたいこととか言っちゃってー、素直になんなよ」

「ちげーよ!」

「まあまあ、最初に違ーうって言っちゃったから、引っ込みがつかなくなってんでしょ? そういうことってあるよねー。わかるわかる。でも、よーく考えたら、自分が間違ってたかもーとか思っちゃって、でも謝りたくなーいとかさー。スサノオはあたしのおじさんなわけだし、まあ、えらそうにしたいって気持ちもわかるよ。うんうん」

うんうん、じゃねーよ。わかるわかる、じゃねーよ。

ひとりで納得してんじゃ、ねーーっ!

「ほらー、早くー。ジヌミが待ってるよ」

また、尻を蹴られた。くそ。

はいはい。俺だって、いつまでもこんな景色の変わらんないとこにいるのはいやですよ。
 
また漕いで漕いで漕いで漕いで漕いで……。
進んでんだか止まってんだか、なんだかもう~~。

はあはあ。ぜえぜえ。
漕いで漕いで。

……………。

なんだか、陽が陰ってきたような気がする。
チラチラしてた木漏れ日がなくなったし、
森の奥が、薄暗ーく見通しが悪くなった。
今って、何時頃なんだろうか。
ミトちゃんちを出て裏山の祠に向かったのは、
確か午後二時頃だったと思うけど。

ってゆーか。
こっちの世界の時間てどうなってんのかね。
一日は二十四時間? 向こうの時間とは連動してんの?
日が暮れてきてんなら、山の夕暮れは速いっていうから、
やばいんじゃないの?

「なあ、サギリー」

と振り向いたときに、そいつらはやってきた。

サギリの後ろから、
どわ───っと。
ぐわ──っと。




[第六章・俺の息子?? -6]へ、つづく

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