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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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第八章・トリカミノサト -3

朝めしの後、たき火の始末をすると、
またうんしょうんしょと川通しの道を歩く。
岩はますます大きくなってくるし、
ところによっては川に入らないと通れない場所もあったけど、
川自体がもう小さくなってるから、
深くてもせいぜいふくらはぎのあたりまでを濡らすだけですんだ。

道々、俺はスサノオノミコトの神話をサギリにしてやった。
その話と同じことが今ここで起こっているようだということと、
二千年の時間をおいて俺の世界とこっちの世界が
同じように進んでいるようだということも。
たまにワカサヒコの解説つき。

「じゃあさじゃあさ。スサノオの世界の二千年前には、あたしとかジヌミがいたかもしんないよね。そんでもって、こっちの二千年後には、スサノオが生まれてるのかもしんないね。もしかして、あたし、スサノオのご先祖様だったりしてー。あれ? でもそうすると、ジヌミがスサノオの息子ってことはどういうことになるんだろね。わかんないよねー」

それとこれとは、また別の問題のようですよ……って、

俺がジヌミの父親説は、まだ解決してなかったんですかっ!?

「ジヌミは俺の息子じゃねえってば」

「まあ、会えばわかることでしょ」

そりゃそうですけどね。
ここまでともに危険をかいくぐってきた仲なんだから、
もうちょっと俺のことを信じてくれてもいいんじゃないですかね。

「ところで、そのジヌミってのは、トリカミノサトになんか用があんの?」

「んーん。ジヌミは別に用はないんじゃないかなー。あたしの剣をそこで作ったらって言ったのはジヌミだけど。船が沈みそうになったときに、離れ離れになったらトリカミで会おう~!って言ってて。で、ざぶーんって波がきて、あたしは気がついたら、浜辺にいたからさー」

よくそれで助かりましたね。

その強運、俺に少しわけてください。

「でも、そしたらこっちの方が早いってこともあるんじゃね?」

「んー。それはないと思う。あたし、自分がどこに流されたのか最初よくわかんなくってさ。海辺のムラに二日くらいいたし。そっからちょっと山に入ったとこのムラで話聞いたら、ジヌミらしきやつが山に入ってったよって。それが、えーと、もう三日前のことだから、なんもなかったら、とっくにトリカミに着いてると思うよ」

そっか。んじゃ、山を登るのに一日かかったとして、
残りの二日間、ジヌミくんはどうしてるんでしょうね?
その鍛冶集団のとこにいるんでしょうかね?
よそ者とは交流しないやつらだったら、
泊めてくれたりとかしてくれないんじゃないでしょうかね?

「ジヌミはどこいっても大丈夫だよ。むちゃくちゃたくましいから」

おまえモナー。
 
頭上に大岩がオーバーハングしていて、
洞窟のようになったところを抜けると、急に視界が開けた。
まだ頂上じゃーないようだけど、
山の中腹の、ちょっとした台地になった場所のようだった。

あたりは高い木のない草原になっていて、
黄色や白の花がいっぱい咲いている。
草原の左側はさえぎるものがなく、
遠くに紫色にかすむ山脈とその下に広がる平野、
そしてその向こうには青く光る、たぶん海が見えた。

絶景かな絶景かな~。

今まで俺らがさかのぼってきた川は、
広々とした草原のほぼ真ん中を流れ、
ゆるくカーブして、右側のさらに高い山のふもとへ消えている。
そして、その草原のはじ、山を背にするようにして、
いくつかの建物が身を寄せ合うようにかたまって建っているのが、
小さく見えた。

あそこに、この箸の持ち主がいるのか?

今朝拾った箸は、尻ポケットに懐中電灯と一緒に突っ込んである。

スサノオノミコトの神話のとおりなら、
あそこにいるのは、アシナヅチとテナヅチの夫婦に
その娘クシナダヒメだ。

てことは、そのアシナヅチたちが、鍛冶集団?

なんか、根拠はないんだけど、それは違うような気がする。
なんでって、説明はできないけど、
クシナダヒメちゃんが鍛冶集団の姫って、どうもしっくりこない。
それって俺の世界での感覚?
こっちの世界では鍛冶屋のクシナダちゃんもありってこと?

ま、行ってみりゃわかるか。
 



[第八章・トリカミノサト -4]へ、つづく

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