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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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第八章・トリカミノサト -2

「スサノオ、食べないのー? あんなに俺の朝めしー! ってわめいたくせに。山姥の奥様からせっかく腹一杯食べていいって言われたのにー。お腹でも痛いの? なんかヘンだよ、さっきから。その箸、どうしたの? 川で拾ったの? 流れてきたの?」

たき火の向こうで、サギリが質問を繰り出している。
質問は一度にひとつずつにしてくださいー。

「なあなあ。このあたりに八個の頭と尻尾のあるでかい蛇がいるって話、聞いたことある?」

情報収集は、地元の人から。ロープレの基本。

「えー? なにそれー。八個も頭があったら、どっちに進むかわかんなくなっちゃって、大変そうだよね。身体はひとつなんでしょ? こっちの頭はこっちに行きたくて、あの頭はあっちに行きたくて、もひとつの頭はまたまた別の方に行きたくてー、なんてバラバラの方向に向いちゃったりして、ビーンッなんつって、動けなくなっちゃったりしてー。いちいちちゃんと相談しながらじゃないと、動けないよね。そんなことないのかな。頭は八個あっても、全部同じこと考えてるのかな? だったら八個もなくてもいいじゃんね。ヘンなのー。そんなバケモノの話は聞いたことないなあ。あ、バケモノじゃなくて山の霊か神様の一種かなあ。ちゃんとした姿があるってことはー。でも、あたしは聞いたことはないよ。なになに? スサノオの世界にはそんなんいるの?」

「いません」

まあ、地元の人間っていっても
サギリは山の向こうからきたよそ者だそうだし、
ここはやっぱりこの箸を流した人のところまで行って聞くしかないか。
たしか、クシナダヒメの父ちゃんと母ちゃんがいるんだよな。
アシナヅチとテナヅチ、だっけか?

お? 父ちゃんと母ちゃんといえば……。

「サギリはさ、なんでそのトリカミノサトに行きたいわけ? そこにおまえの母ちゃんがいるっての?」

「え、違うよ。あのね、トリカミノサトって、すごい強い剣を作る人たちがいるってので有名なんだって。あ、これはジヌミが言ってたんだけどね。そんで、あたしのこれ、ネサクの形見みたいなもんなんだけど、この鉈をね、剣に作りかえてもらおうかと思ってさ。旅で身を守るためには、やっぱ剣の方が便利だろうし。使い方はこれから練習しなきゃならないんだけどさ。鉈の使い方だってこれから練習しないとダメなんだから、おんなじじゃん? それに剣だったら、ジヌミが少しは教えてくれるっていうし、ちょうどこのトリカミノサトは、行こうと思ってたところの途中にあったしね。じゃあ、ついでに強ーい剣でも作ってもらっちゃおうかなーなんて思ってさ。なんで?」

ああ、鍛冶集団か。
この山の中には鍛冶を生業にする人たちの集落があると、
こういうことですか。
山姥も「トリカミのやつらは下界のものどもと交わりを絶っておる」
とか言ってたけど、
山の鍛冶集団はだいたい平野の里の人間とは、
あまり交流がないものだったらしいし。

あ、これは俺のいた世界での昔の話だ。 
こっちでもそれがあてはまるとは限らないかも。 

ややこしいなー。
あっちとこっちの世界は、時系列で繋がっているものじゃないって、
こっちのワカサヒコは言ってたけど、
んじゃ、このスサノオのヤマタノオロチ話はどう説明つけてくれるんだよ。

「あっちとこっちは別のものなんですが、基本設定が同じでスタートしてますから、さまざまな部分で類似性が出てくるのではないでしょうか」

いきなりワカサヒコの声が、斜め上から降ってきて驚いた。
見あげると、おなじみジャニ顔が二つ空中に浮かんでいる。

おまえら、ゆうべはどこ行ってたんだよ。
山姥の奥様にわけわかんないこと言われちゃって、俺は大混乱なんだよ。

「あ、山姥のばーさんとは会いたくないっつうかー」

ばーさんなんて言うと怒られますよ、シナツヒコさん。

「まあ、神としての格が違うので、私どもは遠慮させていただきました、ということです。はい」

奥歯になんか挟まってませんかー?

要するにおっかないのね。
神様同士でも、いろいろあんのね。大変ねー。

「で? どういうことだよ? 基本設定が同じって」

「いや、私たちにもよくわからないんですが、これまでの情報を総合しますと、こっちの世界は、スタート時点ではあっちの世界のスタート時点の状態と、まったく同じものだったのではないかと、そう考えられるということなんです。それが、二千年くらいの時間を空けて、スタートさせてあるんじゃないかと。スタート以降は別々に進行してきてますから、違ってきてる部分もあるんですが、基本が同じなので同じ部分もある、っていうことなんじゃないでしょうか」

「スタートさせてって、そのスタートさせてんのは誰なんだよっ」

「そんなことは、この世界の内側にしか存在できない我々にはわかりませんよ。自然発生的にスタートしたのかもしれませんし、誰か、このふたつの世界の外の存在がいて、そのものがなにかやっているのかもしれません」

うわーん。またSFですか。
ヘリオセスベータ型惑星開発委員会ですか?
モノリスですか? わけわかんねえ。

超超、超~苦手。

「まあ、いろんなとこで関わりがあるってのは、あるみてえだよな。気になるってんなら、行ってみるしかねえだろ」

シナツヒコさんの、その単純なとこ、結構好きです。

「ねえねえ、スサノオっ! ちょっとー、あたしの質問にはなんも答えてないじゃんよ。なんなんだよっ。ひとりでぶつぶつ言っちゃって、ひとりでうんうん言ってー。あたしの質問に答えなさいよっ!」

あ、えーとなんだっけ? ああ、そうそう。

「朝めしは、食べるよ」

「そんなこたー、わかってるよっ!!」 

カツーン!

味なしクッキーは、思いっきり額に当てられると結構痛い。



[第八章・トリカミノサト -3]へ、つづく

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