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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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第九章・オロチの民 -3

「彼らはその山に、とてつもなく大きな鍛冶場を作りました。そのために山の半分の木が伐られてしまったほどです。夜も昼も、そこでは休みなく鍛冶仕事が続けられました。今も続けられています。夜になると山のきわが、赤く燃えているように見えますよ。あれは、なんとも不気味な眺めですな……。それに、金属の材料を取るために、山は掘り返されて、元の形を残さないほどになってしまいました。しかも、鍛冶というのは、その作る途中で、なにか毒を含んだものを出すもののようで、それを流した川では、魚が捕れなくなりました。木の実もならなくなったり、なってもまずくて食べられなかったり……。あ、このヒノカワは大丈夫ですよ。この川の上流には、まだ鍛冶場はありませんから」

工業の発達による環境破壊ですかー。
二千年後でも同じようなことやってますよー。
別の世界ですが。

「これではちょっと、いくら便利な道具で潤ったとしても、まずいんじゃないか、ということになったんですが、なかなかそれをやめてくれとは言えなかったんです。サトの中でも意見が別れたりもしまして」

それまでは、その便利な道具の恩恵にあずかっていたわけですもんね。
オロチの民の剣、独占販売!なんてこともやってたんだろうし、
こっちの都合でやめてくれなんて、そうそう言えないよな。

せつないですなー。

「で、しばらくして彼らはまたやってきたのです。今度はお願いとか交渉ではなくて、山をもらうぞ、というただの宣言でした。大勢で、たくさんの金属の武器を持っておりました。我々は、それまで争いごとと無縁に暮らしておりましたので、武器の扱い方も知りません。さきほどの家の者たちのありさまをご覧になったでしょう? あの者たちが持っておったのは、二十数年前のまだ仲がよかった時分に、オロチの民からもらい受けた剣なのです。武器といえば、ここにはあれしかございません」

うへー、んじゃあれは二十年前から使い続けてるもんなんですね。
たぶん、研ぎ方とか手入れの仕方も教えてもらえてなくて、
だから錆錆なんですね。

「我々に、いやだということはできませんでした。やむなくまたひとつ山を渡すことになりました。それからというもの、彼らは毎年のようにやってきては、ひとつずつ山を奪っていくのです。今ではオロチの民も数が増え、八つのムラにわかれまして、それぞれの山に住んで好き勝手しております。ただ、山の神との契約というものがありますので、もとの持ち主である我々が『譲る』と言わなければ、そこを勝手に所有することはできません。これは、我々が大昔にここに暮らし始めたときからの神々との約束なのです。しかし、剣で脅されてですが、『譲る』と言わされてしまった家のものたちは、それまでの生活の糧を得る山がなくなってしまったのですから、だんだんと食べる物にも苦労するようになりました。最初のうちは残った山からのものをわけあって暮らしていたのですが、それが残り三つになり二つになり、というころから、もうダメだと、ここでの暮らしに見切りをつけて、順々にサトを出て山をおりていきました。それで、もうここに残っているのは私の家だけなのです」

あああああ、わかった!

わかりました!

ここではヤマタノオロチってのは、そのオロチの民。
んでアシナヅチが、毎年人身御供に差し出したという八人の娘ってのは、
その八つの山ってことですね!

そんでもって、明日の約束ってのは、
アシナヅチにその最後の山を譲るって言わせに、
オロチのやつらがやってくる日であると、そーゆーことですねっ!

てことは、クシナダヒメってのは人間のお姫さまじゃなくて、
その最後の八番目の山のこと? 

うーん、微妙にがっかり。

姫のために戦うってのはちょっと荷が重くてしんどいなーと
思ってたんだけど、でも、どんなお姫さまかなーって、
ちょっと楽しみにしてたりもしたんだよね。
その子のためならがんばれちゃうような、
かわいい子だったらいいなーなんてさ。

十九歳男子の心情をわかってくれよ。

う──ん、しかしホントのことがわかってみると、
なんとも現実的な話ですなー。
もろ部族同士の、政治的な力関係の話じゃんか。
文化の伝播とか、工業製品の流通とか、経済問題も含んじゃって。
そんでもって、行き着くところは過疎高齢化問題?

あ、もしかして俺の世界のスサノオノミコトの神話も、
もともとはこんなことだったのを
擬人化したり言い伝えしたりしてるうちに、
ヤマタノオロチとかクシナダヒメとかが登場する話に
なっちゃったってことなんですかね。

そうかもな。



[第九章・オロチの民 -4]へ、つづく

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