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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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第九章・オロチの民 -2

「私は、このトリカミノサトの長です。このサトは、はっきりとしたことはわかりませんが、だいたい千年前には、ここに家を建ててトリカミノサトとして、多いときは二十軒ほどの家が集まって暮らしておりました。ここは山の幸も豊富ですし、少し川沿いに歩けば、あとは船で、ふもとのサトとも容易に行き来できますので、山のものと海のものを交換したりして、ずっと平和に暮らしておったんです」

「あ、船かー。川を船でのぼれば簡単だったんだな。そんなこと、ふもとのおっさんたちは教えてくんなかったぞ。どっか登り口があるはずだーなんつってさー。おかげであたしたち、山ん中でひどい目に遭ったんだよなー。なースサノオ?」

口を挟むなよ。話があっちゃこっちゃいっちゃうからー。

「それは、ここ十数年ほどは定期的な交易もしておりませんし、ふもとに行く者たちは、もう戻らないつもりでおりていく者ばかりになってしまったので、下からこちらへやってくる方など、本当に山に迷ってきた人間だけになってしまったのです。なので、船での道を知っている人は、少なくなってきているのではないでしょうか」

「なんでよ?」

「さきほどお話ししたように、我々トリカミノサトはずっと平和に暮らしておったんですが、三十年ほど前に、オロチの民というのが、尾根づたいに西からやってきおったのです」

「オロチ? 蛇?」

うわ、ついにヤマタノオロチ登場。……でも、民って?

「蛇というか、龍神を信仰する、異国から渡ってきた人々のようなんですが、金属のものを作る術に長けた者たちです。ここらでは大きな蛇のことをオロチというということで、では俺たちはオロチの民だ、と名乗りまして。この山に住み着いたのです」

「あたしのアシワラノヤチノサトにもいるよ、龍神の血筋の家。ってもこっちは、もうやってきたのは何百年も前のことみたいだけどー。田んぼとか川の、水の流れを変えることができる技を教えてくれたんだってさ。異端の人たちって言われてるけど、でも一緒のサトの中に住んでるし、まあまあ仲良くやってるよ。あたしの父ちゃんのネサクは、その龍神の家の息子だったんだよ。そこんちのじいちゃんは、龍神の家の長男がサトのカムナギの家に入り婿なんてーって、反対だったみたいだけど、でもまあ結婚しちゃったものはしょうがないよねって感じだったしー」

おまえの家族構成は、聞いてないよ。
また話がややこしくなるじゃねえか。

たぶん、その製鉄や治水の技術を持ってきた人たちってのは、
大陸の方から渡ってきた人たちなんだろう。
ここの地理が俺の世界と違ってなければ、だけど。
その人たちは、地元の人間たちが信仰しているのとは
違う神様を信仰している、と。

まあ、ありそうな話やね。

で? サギリのサトではまあまあ仲良くやっているその人たちが、
ここではダメなんですか?

どして?

「ええ、ここでも最初のころはよかったんです。彼等の作る金属の道具を、私たちも便利なものだと、喜んで譲ってもらったりしましたし。山の中に鍛冶場を作りたいという願いにも、じゃあ、ここがいいんじゃないのか、などと、小さいですが土地を用意したりもしました。彼等のことをどこからか聞きつけて、ふもとから剣や道具を作ってもらおうとやってくる人もいたり、その人たちとの交易で、我々もオロチの民がいることで潤ったときもあったのです」

ジヌミが言ってたっていう強い剣を作ってくれる人たちってのは、
このアシナヅチのおじさんじゃなくて、
オロチの民って人たちのことだったってことか。
クシナダちゃんが鍛冶場の女じゃなくて、ちょっと安心。

なんだよ、安心て。

で、その後なんでかアシナヅチさんたちとそのオロチさんたちは、
仲悪くなっちゃったってことなんですね?

なんで?

「このトリカミノサトの上には、八つの小さな山が連なっておりまして、八つ山の峰と呼ばれております。私どものサトも、ちょうど八つの血筋にわかれておりましたので、それぞれの家の持つ山というのが決まっておったのです。まあ、その先祖がそれぞれの山からおりてきた、というような伝説が残っておったりもしましてな。ひとつの山をひとつの家系で所有する、というそんな契約を千年の昔に、それぞれの山の神と交わした、ということなんですな。その所有する山からの恵みは、その家のものである、というわけです。最初は、その八つのうちの、ひとつの山をオロチの民に譲ってくれないか、という話でした。彼らによれば、ここらの山はいい金属の材料が取れるのだそうです。その山のもともとの持ち主の家のものは反対しましたが、そのオロチの民の作る道具で、このサトも潤っていたときだったので、他の者たちで説得して、結局その山をひとつ、オロチの民に譲ったのです」

ああ、なんか話の筋が見えてきました。
ちょっとその先は、聞きたくない感じー。

やな感じー。



[第九章・オロチの民 -3]へ、つづく

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