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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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最新号はこちら→第六章・アシワラノヤチノサト-33   最初からお読みくださる方はあらすじから。 目次一覧はこちらです

「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
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「素戔鳴流離譚・其ノ一」(すさのおりゅうりたん・そのいち)は、完結しました。
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第三章・俺の女神ちゃん -1

思わず顔をあげた俺の目に入ってきたのは、
階段を上からおりてきた女子の太股だった。

うほ、スカートみじけえ!

「あ──、高木くうーん。
昨夜は先に帰っちゃって、ごめんねええ」

胸ポヨンちゃんだった。
胸ポヨンちゃんは、太股もポヨンちゃんなのだった。
昨夜は胸ばっかり見てたから気付かなかったよ。

絶妙な角度でパンツは見えない。くそ。

そしてその後ろからは、勝ち誇った顔のスーツ男が、
俺を見おろしている。
今日はスーツじゃねえけどな。
さりげなーくポヨンちゃんの肩に、手を置いてる。

あ、そう。お持ち帰り、されちゃったのね。
そうなのね。
青春がまたひとつ終わったよ……。

「また飲みにいこうねえ」

いきません。

黙って手を振って、二人の横をすり抜ける。
なんて言えばいいのよ、この場合。

「また飲みにいこう」なんて言うな──!

女子って残酷。

踊り場まできて後ろを振り向くと、
スーツ男の腕にぶら下がったポヨンちゃんの
斜め後ろあたりにバケモノになりかけの灰色のカタマリが見えた。

恋は人の心に、邪悪なものも呼び込むものらしいデスよ。

初めてのチューの相手だったユイは、
俺と付き合い始めて三ヵ月で、真っ黒バケモノを育ててしまったし、
初めてエッチしたリナだって、
半年後には立派なバケモノをしょっていた。

例によってそいつらは俺に襲いかかってくるから、
彼女らから引き離して、なんとか浄化してやったんだ。
特にリナの育てたバケモノは手強かった。
一回のトナエゴトじゃ浄化できなくて、二回目でやっと消えてくれた。
あれはやばかった。もうちょっとで喰われるかと思った。

そんな苦労をしてる俺なのに、ああそれなのに。
バケモノを退治してやって感謝されるどころか、
彼女らはバケモノが消えた途端、
俺への恋心も消えてしまうらしく

「高木くんて、なんかつまんなーい」

なんつって「さよーなら」だ。

「ワタシタチ、イイオトモダチデイマショウ」だ。

なんなんだよ──っ! ちくしょ───!!

もちろん彼女らに、バケモノの姿は見えてないんだけどさ。
俺がバケモノ退治したなんてことは、
まったくもってあずかり知らぬことなんだけどさ。

要するに、バケモノたちは俺のことを喰いたくて興味津々なんだけど、
それがくっついてる彼女たちも影響されて俺に興味を持つ、と。
そんでもって、それを恋と勘違いしてお付き合いくださる、と。

でも、恋なんて所詮勘違いから始まるものなんじゃないですか。

ルルル~。

でもでも、そのバケモノを俺が倒してしまうと、
影響するモノがなくなるわけだから、
俺への気持ちも冷めてしまうって寸法だ。

ひどい。

思うに恋心ってのは、
黒い情念とセットになったものなんじゃないですかね?

バケモノなんて見えない普通の方々は、
お互いにその黒い気持ちを育てつつ、清い恋心も育てると。
そんでもってそのバランスがうまくいくと、
末永く共白髪……となるんじゃなかろうか。
黒い情念を消してしまっちゃいけないんだよ、きっと。

あら、なんか文学的?

これテーマにジュンブンガクでも書いて、芥川賞でも狙おうからしら。
しかし、んなことがわかったところで、
俺のバケモノに襲われ体質が変わるわけでもなく、
俺はリナ以降、彼女いない歴三年だ。
この因果関係がわかっちゃって以来、
恋をするのもなんだかなあの俺様なんですよ。

かわいそうでしょ?

十九歳なんて、人生で一番楽しい時期じゃないですかっ!
特に男女交際に関してはっ!

ねえ!?

それが……バケモノのせいで楽しめない。

理不尽でしょ?

一晩限りのつまみ食いで楽しむって手もあるんだろうけど、
そんなおいしい話、そうそう転がっちゃいねえってわかってるし。
昨日イイ線いくかな~ってちょびっと期待した胸ポヨンちゃんだって、
結局スーツ男に取られちったしさ。
だいたい俺、そんな度胸ねえもん。そんなテクねえもん。ちぇ。

それに、それにね。

俺は、普通の、ごくフツ───の恋愛をしたいんだ────っっ!

映画に行ったり、海に行ったり、
お互いの家を行き来したり、
誕生日にはプレゼントし合ったり……。

そんな、普通の青春希望。
ほんっとに普通でいいんですが、ダメでしょうか……。

ダメなんでしょうね。そうですよね。わかってますよっ。
普通にバケモノがくっついてきちゃう女の子と俺は、
普通の恋愛ができないってことは、もうわかってます。

うっうっ……。

俺はこのまま一生独身さっ。
これから彼女いない歴を更新しつつ年老いていくのさっ。

ふんっ。


…………。


なーんてねっ!
いじけてたのは、三ヵ月前までの俺。

今、俺はついに見つけたんですよっ!

俺の女神。
俺の姫。
俺の太陽。
俺の希望。
俺の、えーと、俺の……いろいろ。

語彙が少なくてすいませんね。

今日はサボるつもりだったのに、
このだるい第二外国語の講義には出ようと思ったのにはわけがある。
同じ講義を、俺の女神も取っているのだ。

ジュテーム。モナム~~~ル。

俺は去年この単位を落としましてね。
今年は一学年下の人たちと一緒に、取り直しなんですよ。
その単位取り直し決定を知った時は
小石を蹴って口がとんがっちゃったもんだけど、

でもでもでも、そのおかげで今年新入生の俺の姫と出会えたってわけだ。

このために俺は去年勉強をしなかったんですよ。
そうですよ。そうに決定。


やっとこさたどり着いた三階の語学教室の入り口に立って、
中を見まわす。

いた! いたいたいたいた!
いましたよっ!


定員四十人の小教室内で輝く白い光。
俺の太陽ちゃん。

稲田美豊(いなだみと)ちゃんだ。

そう、今まで自分の母親しかいないと思っていた
真っ白特異体質のもう一人を、
俺は人生十九年目にしてついに見つけたんですよっ。

ミトちゃんといればもう怖くない。
オカアサンと一緒じゃなくても怖くない。
真っ黒バケモノも襲ってこない。
俺の低レベルの結界ともさようなら。

しかも、ミトちゃんにバケモノはくっつけないわけだから、
俺と恋愛したって、
バケモノが原因でややこしいことになることはないはず。
親父があのおふくろをモノにしたように、
俺とミトちゃんもきっときっと運命の二人なんだよ。

絶対そうだよ。
そうだよねっ!

「ミトちゃ~~~ん」

教室の机の間を駆け抜ける。

ミトちゃんは教室の一番後ろの窓側の席。定番の席だ。
その席を中心にした半径三メートルくらいが、
俺にしか見えない白い光で満たされている。

「あら、高木さん~。こんにちは~」

光の輪の中心でミトちゃんが、俺に向かって微笑んで手を振った。
後光が射すとはこのことを言うんじゃなかろうか。
お釈迦様も真っ白体質だったに違いない。

「ミトちゃん~、会いたかったよ~~」

腕を広げて、ミトちゃんに向かってダイーブ!

……が!


[第三章・俺の女神ちゃん -2]へ、つづく

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つまり、「マレビト」とは、[稀人舎]を運営している者のことです。
このブログは、まだ本になっていない作品を入れておく場所……「引き出し」です。
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