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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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第七章・俺ってナニモノ? -6

俺の斜め後ろの岩のフチから、
鼻から上をのぞかせていたのは、人の顔だった。
たき火の明かりに照らされてなんだか赤くてらてら光っている、
おばあさんの顔だ。

うひ───っ。

そのおばあさんが手を伸ばして、俺の手をにぎっと握っている。

うわ────ん。
お、お、おばけ。


「おばけとはご挨拶ではないかえ?」

おばけ以外に、なんとお呼びしたらよいんでしょうかー。
皺だらけの顔に、ギョロッと大きい目。
白髪まじりの髪は、一応後ろで括ってあるけど、ぼさぼさだ。
なんで、おばあさんの顔ってのは不気味なんだろうか。
あ、いや、本物のおばあさんには失礼千万なもの言いだとゆーことは、
重々承知でございますけどね。
でもでも、ど────しても、不気味なもんは不気味なんだようううう。

「ほんに、失礼な子ぞな。これは親御のしつけがなっておらんな」

よいしょと声をかけて、おばあさんの外見に似合わない身軽さで、
そのモノは岩の上にあがってきた。俺のそばに腰をおろす。

えーん。誰なんですかー?

「この山の山姥のおばあ……おばさんですか?」

サギリが、控えめに声をかける。

「そうさ。いかにもわらわは山姥ぞ。この山ができたときからここにおる。じゃが、おばさんじゃのうて、奥様と呼んでもらいたいものぞな」

なんか、言葉遣いはえらそうだけど、奥様ってカッコじゃないよな。
身に付けている着物はボロボロで、帯なんかなにかの植物の蔓みたいだ。

ぺしーんっ!

側頭部を皺手ではたかれた。俺ってつくづくなぐられキャラだよな。

「あの、山の奥様は、そのーなんのご用で……?」

俺、なぐられてんですけど、無視ですかー、サギリちゃん。さみしいよ。

「ほほ。こんな山の中で人間の子供らが夜明かしをしておれば、そりゃ気になろうってものではないかえ? 道にでも迷うたか?」

こっちもなぐったことについて、なんかコメントはなしですかー?

「迷ったっていうか。トリカミノサトに行きたいんですけど、途中で日が暮れてしまって。あの、この道で間違ってないですよね?」

「間違ってはおらんが、難儀ぞ。トリカミのやつらは今、下界のものどもと交わりを絶っておるからの。道らしい道がないのじゃ」

「遠いですか?」

「それほどでも。明日の朝一番に発てば、日が天の中ほどにあるうちに着けようぞ」

「ああ、よかったー。また一晩とか、かかっちゃったらどうしようって思ってましたー」

「それほどの山ではないほどにな。かあいらしい山であろ?」

その、かあいらしい山で、俺ら大変な目に遭ったんですけどー。

「ところでの。山姥の錦はいらんかえ?」

なんか唐突。どこから取り出したのか、
山姥の奥様はいつのまにか、手に反物を持っていた。
筒に布が巻いてある、日本昔話の宝物の絵とかに出てくる例のやつだ。
こまかい模様は暗くてよく見えないけど、
たき火の灯りを反射して布の表面がキラキラ光っている。

訪問販売ですか? しっかし、こんな山の中で反物もらってもねー。

「いただきたいのは山々ですけど、こちらから差しあげられるものが、今はこれしかないんですー」

サギリは、さっき夕めしに食べた干し肉と味なしクッキーが入った袋を
そのまま差し出している。

「餅はないのかえ?」

山姥は袋の中をのぞき込んで、贅沢なことを言う。

「ごめんなさい」

「持っているもの全部というなら、これでしょうがないかの」

「ちょーっと、待った──!」



[第七章・俺ってナニモノ? -7]へ、つづく

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