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マレビトの引き出し

[稀人舎]読み物コーナーです。 和風ファンタジー連載中。

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「葦原を流れゆくモノたち・其ノ一」は完結しました。
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序章 -6

頭部にくるだろうと覚悟した衝撃はなく、
代わりに砂利にこすれた肘が痛い。

身体を投げ出したまま、首をねじって上を見ると、
〇・二秒前まで俺の頭があったであろう空間を、
黒いバケモノが猛スピードで通り過ぎていく。

がごぎがぐぐげごご……。 

ゲップとも呻き声ともつかない音を立てながら。

だらしなく開きっぱなしのビッグマウスからは、
相変わらず不気味な粘液がしたたっている。

ジュ……。 

地面に突っ伏した俺の頬のそばの地面に落ちたそれが音を立てた。

ジュ…? うひ────。

ブロック塀など、俺の前にも後ろにもどこにもなく、
そこは住宅地の狭間にちんまりと作られた、小さな公園の入口だった。
中央に立つ、すべり台付きの小さなアスレチックジムのような遊具の間をすり抜けて、
バケモノ様は公園の向こう側の出口に突進していく。

そのまんま、イスカンダルの彼方まで行っちまってくれ────!! 

……俺の願いも虚しく、バケモノは公園の出口の手前、
かわゆらしいブランコのところで、おっとっと…てな風に空中で急ブレーキをかけると、
ぐわりとこちらに振り向いた。

振り向くっつっても、目も鼻もない、でかい口だけがある、
そっち側が前だと仮定しての話だけどな。

「さっさと片づけろってばよっ」

またしても、パキーンと頭がはたかれる。
シナツヒコの扇子はなにでできてんのか知らないけど、
それではたかれると痛いんだ、ホントに。

くっそー。わかったよ。
やりゃあいいんでしょ、やりゃあよ! 

俺は倒れ込んだ体勢からワンアクションで立ち上がると、
ちょっとひと言では説明できない複雑な形に両手の指を組み合わせて、
こっちに向かってスピードを上げつつあるバケモノに向き合った。
組み合わせた手を口の前に持ってきて、
その手の中に息を吹き込むように、浄化のトナエゴトを唱える。
下っ腹に力を入れるのがポイント。

「はらいごと きよめごと
 のろいごと ほかいごと
 もうす

 にぎみたま あらみたま
 あめつち ことだま
 さわに

 やそまがつひ おおまがつひ
 かむなおび おおなおび
 さわに さわに

 いざあわな いざ!」

組んだ手を解き、
右の手の平をバケモノに向かって突き出す。
トナエゴトによってたまり、形になったなにかが、
俺の手から白い光の球となって飛んでいく。

カメハメハ────!!

じゃなくて。 
でも原理は同じだと思う。
自分の中にある「気」とか「魂魄」とか「精神力」とか、
そんな普段は形のないものを光の球というエネルギー体にして
発射するのだ。

俺の右手にあと三十センチまで迫っていたバケモノは、
その光の球に正面からぶつかった。
ぶつかりやがりましたよ。

パアァァ──ンッッ!

瞬間、空気を震わせて、バケモノの黒い身体は消え失せた。
確かに実体を持って襲いかかってくるように
(俺には)見えていたそいつは、
今や散り散りの灰色の気配のようなものになってあたりに拡散していく。
小さな粒になったひとつひとつを見れば、
小さいながらも邪悪なものをその中に保っていることがわかる。
だけど、邪悪なものと同じだけこの世に存在する
清浄な気配と混じり合い薄められて、
力を失っていく。



[序章 -7]へ、つづく

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